グリコのSAPトラブルについてやっと原因がらしきものが

グリコのSAP移行トラブルについて、デロイトやグリコの情報システム要員、SE担当者の給与の低さ等々、報道されているが、例によって面白おかしい報道だけで原因が見えてこない。

弊社は化粧品・薬品・健康食品・食品・食品流通を得てとして主に中小向けのパッケージソフト開発と販売を実施している。

※疑問その1 342億円もかかるのか

 完全受託開発であってもこの1/10以下で可能である。
金額の妥当性をグリコのシステム担当が理解しているのか、他社比較したのか
(この件弊社の同業他社に確認したが各社とも私と同意見である)

※疑問その2 デロイトの担当マネージャーが食品系の生産業務と食品流通を理解していたのか

 食品原材料資材等、必要量に対して、発注量の判断、当然消費期限や、有効率等、ディーラの単価選択と納期管理、保管期間管理、不良対応、先入れ先出し等々が必須である。

 家電の生産管理のように部品を集めて在庫して1+1+1+1=2になるような世界でない
まずこのことを理解していなかったのではないか

 最低限食品GMP程度は理解していたのかも疑問である。

 流通も単純にできあがったものを在庫から在庫の置き場から、出荷では、トラックのチャータから受け入れ先の容量まで管理が必要である。

 また定番商品は、需要予測から在庫予測と生産予定の策定も必須である。

 いわば、相手は生のも、水物であり、部品をあつめて生産するといった簡単ものでない

 現場を確認したのだろうか現場を知っているのだろうか?


※疑問その3 江崎グリコの担当SEが業務理解をしていてのか権限を付与されていたのか
 
 グリコのSAP理解しているSE募集で500万円~になっているが
これで人材があつまると考えているのか、そもそも基幹システムの開発担当は最低限中小なら社長直属、大手でも取締役辺りが担当し、直属の意気のいい部長辺りが現場を仕切るが
 
 給与分しか働かないド素人を担当としたのだろうか、ド素人でも業務を熟知していない御仁を担当としたのだろうか

※疑問その4 デロイト担当者は日本語でかみ砕いてグリコさんに丁寧な説明をしたのだろうか

 これ弊社でもスタッフに必ず注意している事だが
「横文字や専門用語を一切使うな、中学生でわかるレベルにせよ」
「説明は見える化、実現方法は絵をつかって具体的に説明せよ」

 弊社スタートは外資系のI社および国内のN社の非孫請けからスタートし、20年かけて外注を脱却し現在の自家開発、自家販売にこぎ着けたが
当時の元請けさんのSEさんはほぼ全員

 SEという職種は、専門職で偉い、素人にシステムが理解できるわけがないという高圧的な態度で専門用語を並び立て、煙に巻くのがあたりまえ、受注すると下請に丸投げで、まともに受領もせつあげく訳のわからない検収確認書にハンコを押させて終わり、一切知ったことでない。

 これが現状でしたが、グリコさんの場合はどうなんだろうか

※疑問その5 そもそもSAPが食品の生産管理に適合するのだろうか

 この件を知りたかたのだが、ネット上に考察が上がっていた 詳しくは
「予算オーバーは当たり前」グリコのSAP移行トラブル、専門家に聞く「本当の問題点」
ビジネスITの6/28(金) 6:40配信 (鍋野氏)
を参照していただくとして
 ・SAPは財務会計・管理会計
 ・販売・購買・在庫管理ぐらいまで
 ・生産管理や流通への展開は難し

 まさに的確な指摘だと感じている

 弊社も化粧品・薬品・健康食品・食品・食品流通をパッケージとして開発販売しているが
残念ながら長年の生産ノウハウや取引法人との商慣習等々を考えると
パッケージ通りの運用は難しい

 開発者としては、パッケージ通りでも業務を遂行できると都度思うのだが日本では残念ながら
押しつけは難しいし現場のニーズを確認しながらのカスタマイズを前提としている
 幸い全て自社開発なので、アドオン方式でなく、元のオリジナルソース対応で対応するのでトラブルを回避できる。

 SAPはアドオンなので大変だと思う。

 経理や給与はお上の決めごとがあるので、まず市販のパッケージで充分である。(弊害として
財務諸表や原価管理や給与計算を理解しているSEが少ないが)

 販売管理は、市販のパッケージで充分だと思うがこれも商慣習の違いがあり、カスタマイズ案件の対象になることがおおい

 結局、SAPの選択に問題があったのか

※疑問 その6 企業規模とシステム会社の規模 最後まで面倒見れない
 (実際は下請孫請けの構造で仕事が終われば解散)

 弊社も何度か、お客様から自社と釣り合いの取れた大手のシステム会社でないと付き合わないと
上から目線で言われたことがある。

 この業界、元請けが開発担当することはまずなく、下請孫請けの丸投げがあたりまえである。
以前TV業界であるある発掘大辞典で広告代理店へ1億の依頼が最終数百万で引孫請けに発注されたのが明らかになったが、システム業界も同じような構造を抱えている

 私も二十数年前だが超大手のSEとしての肩書きで3年ほど超大手のお客様に開発マネージャとして常駐した事がある。SE12名 PE60名の大部隊の長である。自室を与えれて秘書までつけていただいた。
 開発に入ると実質10名で1年で開発可能を私は判断し、元請けに上申したが、厳しく注意さて箝口令をひかれた。実質2600人月の仕事が60人月でできる訳である。26億が6千万円、これも実態である。
 
 検収書に印鑑をついた段階で、下請は消え去り、システムを理解できていない元請けSEが残る
運用後も結果が見えている。

※結論
 ・システム会社のSEには、専門用語の禁止と、見える化(図示)と徹底
 ・そのSEのスキルと人間性を判断、専門馬鹿はお断り
 ・システム会社が以前担当した法人の見学や意見聴取
 ・自社担当者への権限付与
 ・トータルシステムでの全体を見越した要件確認と部分的に順次導入
 ・トライアル等でパッケージをテスト稼働し自社商慣習、作業慣習の確認と見直し
 ・プレゼンに惑わされないスキルを持つ担当SE(他社での可能)

※追記
 そう言えば2000年頃基幹システムに米国のパッケージ導入がブームとなったが
ことごとく日本の商慣習にあわないと挫折したと聞いている